紙メモとExcelからの脱却だけで良いの?
スマホを使えば効率化?
施設管理台帳のデジタル化を考えるときに、従来の手法ではExcelの台帳をデータベース化して、紙の調査メモをスマホに置き換えて…という発想になっていたと思います。ExcelのDB化は必須ですからやりましょう。ところで、紙がスマホに置き換わる部分は果たして本当の効率化につながっていたでしょうか?
現場の調査員のことを思うと、紙メモならサッとメモを取るだけで次に行けますが、これがスマホになると、起動して、アプリにログインして、スマホ画面で文字入力…と逆にスピードダウンになりかねない
確かに、そこさえ我慢すれば、スマホの調査結果はすぐにデータ化されるという、バックエンド側の大きなメリットがあるのですが、スマホで調査に関しては、すごく効率化された…とまではいえない部分があるのも事実です。
ハンズフリーで自動記録
そこで、私たちの調査アプリでは現場も幸せになれる「フロントエンドの効率化」を目指しました。そもそも施設点検では、異常がなければ何もしなくて良いのですから、いちいちスマホを取り出して「異常なし」と記入するのは面倒なだけです。そこで、スマホの位置情報から「施設ごとにチェックインする」というアイディアを、点検アプリに導入しました。
点検アプリは、点検員が施設にチェックインして、目視や器具で点検した後にチェックアウトするまでの時間を、たとえアプリが起動されていなくても常時監視しています。そして、施設から離れた後に「点検済み」を自動記録します。これならば、点検スマホは「イン・ザ・ポケット」のままでOKで、異常がない限りどんどん点検が進みますから、点検員にとっては効率的なことこの上なし!となるわけです。
音声記録で誰でも使える
では、異常が発見された場合はどうしましょう。ここでも、私たちは効率化を求めて「音声記録」を採用しました。点検作業にあたる方は熟練者で高齢な場合もあります。つまり、小さなスマホ画面での文字入力をお願いするのは、かえって効率ダウンにつながってしまうことがあります。音声入力ならば誰でも使えて、多少声が震えて文字入力に間違いが生じても、多くの場合では意味が正しく伝わります。またスマホOSの音声-文字変換と違い、音声ファイルも同時に保存しますので、後で修正することも可能です。
現場と事務所の連絡も効率化
これまでの点検業務では、異常発見時の状況説明に時間がかかったり、現場確認のための人員を派遣するかどうかの判断に悩んだり、などの課題がありました。ここをスマホアプリを使うことで、「音声」「写真」をすぐにデータベースに登録することができるようになりました。さらに点検内容をアプリから直接電話して事務所に伝えることで、事務所の係員はリアルタイムで詳細な状況を把握できるようになり、異常対応が迅速かつ確実に行われるようになりました。
まとめ
これまで効率化には限界があると感じられていた施設点検の業務ですが、これらの取り組みにより、フロントエンドからバックエンドまで一連のデータを受け渡せるようになったことで、特に現場の点検業務の大幅な効率化を図ることができるようになりました。