Pacific Spatial Solutions

Google Photorealistic 3D Tilesで本格的な3D時代へ突入

2023年5月10日に、Google社が発表した、Photorealistic 3D Tiles(フォトリアリスティック3Dタイル)の発表は、いくつかの点で、3Dデータを取り扱ってきた私達にも衝撃と微笑みをもたらしてくれました。

まだご存知ない方のために、まず最初に、Photorealistic 3D Tilesの簡単な紹介と技術的なポイント、続けて、PSSで試したこと、そして今後の活用についてお話ししたいと思います。

まず、今回公開された、Photorealistic 3D Tilesは、49カ国2500の都市をカバーする3Dデータです。日本では、東京、大阪を始め主要な都市のデータが提供されています。Google EarthやGoogle Mapsを3Dで使っている方にとっては、すでにおなじみのデータです。

それではなぜ、今回の発表が私達にとって重要な意味を持つのでしょうか。それは、データが、オープンソース規格である3D Tiles形式で提供されている、そしてAPIとして提供されているからです。つまり、3D Tilesを取り扱えるCesiumJSを始めとする様々なプログラム上で、Googleのリアルな3Dデータが使えるようになりました。たとえば、弊社でも取り扱っているCARTOのデータを、deck.glというライブラリを使ってGoogleの3Dデータ上で展開することができます(https://3dtiles.carto.com/)。

もちろん、CesiumJS上でもPhotorealistic 3D Tilesを表示できるので、近い将来、東京都デジタルツイン実現プロジェクトで利用しているTerriaJSでも利用できるようになるでしょう。Unreal EngineやUnityなどのゲームエンジンでもPhotorealistic 3D Tilesが使えます(動画:https://youtu.be/tnA_QoHAgMc)。

▲Google Photorealistic 3D TilesをUnreal Engineで利用した例

現在日本では、国交省が進めるProject Plateauにより、急速に建物や橋などの3Dオープンデータが普及し始めています。Googleのこのサービスは、これらのプロジェクトと競合するのでしょうか?

Photorealistic 3D TilesとPlateauの3Dデータとの一番の違い、それは、Photorealistic 3D Tilesはリアルな3D背景地図であるのに対し、Plateauのデータは、3Dデータそのものであるという点です。Photorealistic 3D Tiles上には様々なレイヤを重ね合わせることができますが、建物ごとに属性を持つわけではないので、ある建物だけを非表示にしたり、高さ情報を使って建物を塗り分けたりすることはできません。

一方、Photorealistic 3D Tilesの建物の見た目は、Plateauのデータよりリアルで、表示も軽快です。つまり、目的によって都市レベルの3Dデータを使い分けられる時代に突入したということになります。

東京駅と都内の避難施設の位置関係をPhotorealistic 3D Tilesで表現した例

▲東京駅と都内の避難施設の位置関係をPhotorealistic 3D Tilesで表現した例

この他、Photorealistic 3D Tilesを活用して、現実の世界に3Dオブジェクトを配置し、ARで見るためのアプリを、UnityやAdobe Aeroを用いて簡単に作成できます。現時点で日本では、Adobe Aero上でPhotorealistic 3D Tilesは使えませんが、今回わたし個人でトライアルに申し込み、早速使ってみました。結論からいうと、結果はかなり良かったです。オブジェクトの配置は簡単で、ほぼ正確な位置にオブジェクトが現れました(https://youtu.be/igo9UTJ20XI)。

図202306

▲Adobe AeroでPhotorealistic 3D Tilesを取り込み、3D オブジェクトを配置して、実際の場所に3D オブジェクトをARで表示させる実験。金色の円錐を配置。

Photorealistic 3D Tilesが利用できることで、日本の3D活用基盤は更に充実しました。

3Dデータの活用やデジタルツインに興味のある方はぜひ弊社にお声がけください。

関連記事

TOP