STAC

STAC Event Japan 2026

8月、日本初となるSTACのイベントがJAXA筑波宇宙センターで開催されました。CNG Japanなどとあわせて開かれた一連のイベントの一つで、広島で開催されたFOSS4G Hiroshima 2026で幕を閉じました。今回は、参加者と発表者の両方の立場から、このSTACイベントを振り返ります。

STAC(Spatio Temporal Asset Catalog)とは、大量の時空間データを記述し、検索できるようにするためのJSONベースのフレームワークです。初めて聞くという方は、ぜひ公式ドキュメントをご覧ください。STAC Browserでは、STACで公開されている数多くのデータセットを実際に見ることもできます。

イベントは8月25日から27日までの3日間、ワークショップ形式で行われ、STACをさまざまな面から取り上げました。初日はコードスプリントで、実際にSTACに触れながら、仕様やエコシステムについて議論しました。続く2日間は、それぞれSTACの作成者(プロデューサー)と利用者(コンシューマー)に焦点を当て、それぞれのベストプラクティスを理解して実践し、現代の地理空間データの環境にSTACをどのように取り入れていくかを考える内容でした。

オープンな地理空間データが増え続ける中、データの発見しやすさはこれまで以上に重要になっています。「見つけられないデータは、存在しないも同然」という言葉が特に印象に残りました。地理空間データを索引化し、アクセスし、閲覧できる拠点は不可欠であり、日本でSTACを広めていくことは、私たちPacific Spatial Solutionsが特に力を入れている取り組みのひとつです。

Day 2:より良いSTACカタログをつくる

初日のコードスプリントには参加できなかったため、私は2日目から参加者として加わりました。この日はSTAC仕様の基本的な考え方を学んだ上で、ペタバイト級の衛星データや、Overtureの世界規模の道路・建物データセットの記述と索引化にSTACがどのように使われているかを見ました。実際に運用されている優れたカタログの例と、STACを構築する人がよく陥りがちな落とし穴の両方を、具体的に理解することができ、とても実践的な内容でした。

この日特に印象的だったのが、Matthew Hanson氏の講演「The Link between STAC and Open Science(STACとオープンサイエンスのつながり)」でした。Hanson氏は、オープンサイエンスの多くは、研究の元となったデータをほとんど入手できないため、真の意味で再現可能とは言えないと指摘しました。STACによってそのデータを見つけやすく、アクセスしやすくすることでこの問題を克服し、研究成果を社会で活かすまでの距離を埋めることができます。

Day 3:STACを実践で活用し、デモを紹介

最終日は利用者の立場で実際にSTACカタログを操作しました。特にわかりやすかったのが、Alex Leith氏によるデモです。Pythonから衛星画像を直接検索・クエリする方法が丁寧に紹介されました使用したノートブックとドキュメントは、Leith氏のGitHubで公開されています。

この日は私自身も、15分間の発表の機会をいただきました。普段から日本のオープンデータをに触れる機会が多いことから、STACが日本の公開空間データをより統一的で使いやすい環境にする基盤になり得ることを示したいと考えました。発表では、国土数値情報の洪水浸水想定区域のデータセットを例に、同じデータをSTACカタログとして公開することで、見つけやすく、扱いやすくなることを紹介しました。

日本国内外のチームが、すでに存在する質の高いデータを活用したソリューションを開発することを後押ししたい、というのが私たちの思いです。以下は、このデータセット用にローカルで構築したカタログのスクリーンショットです。

おわりに

日本初のSTACイベントは素晴らしいスタートとなり、その熱気は翌週のFOSS4G Hiroshimaへとつながりました。一方で、「公開されているオープンデータ」と、「実際に発見できるデータ」との間には、依然として隔たりがあります。日本ではすでに質の高いオープンデータが数多く公開されていますが、どこを探せばよいかを知らなければ辿り着けないものも少なくありません。この隔たりを埋めることこそ、STACが他との大きな違いを生み出せる部分です。今後のコミュニティの広がりが楽しみであり、Pacific Spatial Solutionsとしても、質の高いデータを誰もが簡単に見つけて使える、日本の地理空間エコシステムづくりに貢献していきます。

STACカタログの構築やオープンデータの公開について、ご質問・ご相談がありましたら、お気軽に下記よりお問い合わせください。

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