2025年5月6日~8日、米国ワシントン州シアトルのHyatt Regency Seattleにて、FMEのワールドイベント「The Peak of Data & AI 2025」が2年ぶりに開催されました。世界中からFMEユーザーが集うこの一大イベントに、PSSからも3名のメンバーが参加しました。
イベントでは、多岐に渡る分野でのFME活用事例が紹介され、業界最前線の情報をキャッチアップできました。何よりの醍醐味はネットワーキング。多くの参加者と意見交換する中で、FMEは単なるデータ変換ツールを超え、大きなビジネスチャンスを生み出す強力な基盤であることを再確認しました。

イベントで紹介された注目の新機能も当記事で触れていますが、まずは初日のプレカンファレンストレーニング、2日目以降の多彩なセッションの内容を少しご紹介します。
◾️プレカンファレンストレーニング:実践で学ぶ
初日は事前に申し込んだトレーニングに参加し、以下のような実践的なテーマでレクチャーを受けました。
◎FME & AI(講師:Avineon Tensing社員)
OpenAIChatGPTConnector、OpenAIOSMReader、GoogleGeminiVisionConnectorを使い、プロンプトで処理を自動化する方法を学びました。
関連情報: https://support.safe.com/hc/en-us/sections/25407368932109-Cognitive-Systems-AI-ML
◎Advanced Automation in FME Flow (講師:FME社員)
FME Flowを使って複数の分岐のある処理を並列処理するための方法を学びました。
◎Powering up your FME Workspaces with Python (講師:Conterra社員)
シンプルなPythonスクリプトを使用して、標準のFMEツールでは難しいタスクを実行する方法を学びました。
トレーニングの後は、大会議室でSafe Software社のCEOである、Don Murray氏による基調講演が行われ、FMEの今後の展望や最新技術が紹介されました。

◾️多彩なセッション:世界のFME活用を知る
2日目以降は、業界別・技術別に多くのセッションが同時開催され、FMEの可能性を広げる活用事例が多数紹介されました。
◎技術的な観点
AI(生成AI、メタデータ作成、言語翻訳、ワークフロー改善)、AR、FME Flowによるアプリ作成、FME Flow REST API、機械学習、SQL、ジオリファレンス、並列化処理、衛星画像処理
◎他のアプリやサービスとの連携
ArcGIS、Kubernetes、DataBricks、Graph API、Unreal Engine
◎インフラ管理
都市計画(BIM、デジタルツイン)、上下水道、水路、雨水利用、道路、自転車道、エネルギー輸送(電力、パイプライン)、通信(光ファイバー)、空港
◎環境・災害
水質、大気質、騒音、廃棄物、生物多様性、生息地、都市緑地、ヒートアイランド、山火事、水害、地震
◎その他
緊急電話番号(911)、医療、交通事故、土地・不動産、組織内データの管理自動化、測量、天然ガス、鉱業、地雷除去
これらの事例は、FMEが業界を問わず社会課題の解決に貢献していることを示しており、大きなインスピレーションを得ることができました。
▷当日のアジェンダはこちら
関連情報: https://fme.safe.com/fme-in-action/customer-stories/
◾️”未来”を実際に使ってみる:注目の新機能紹介
イベントでは、現在β版のFME 2025.1 betaでのみ対応可能な、以下の革新的な新機能も紹介されました。使用についてはこちらの注意事項をご確認ください。
◎FME Realize (AR体験)
iOS App StoreからダウンロードできるiOSモバイルデバイス用のアプリ。現場で属性情報を確認したり、建物のオクルージョン表示も可能です。
- FME Formを使用して、ポイントとラインで構成される一般的な2D GISデータセットをARモデルに変換するワークスペースを作成。
- ワークスペースをFME Flowにアップロードし、FME Flow ARアプリを作成。
- FME Realizeアプリを使用してARモデルの配置を最終調整。各種構造物に紐づけられた属性情報を現場で確認することもできる。

人間は自動認識され、表示された地物がオクルージョンされる。画面上に属性情報も表示される。
関連情報: https://community.safe.com/product-updates/introducing-fme-realize-38065
https://support.safe.com/hc/en-us/articles/24947544527245-Tutorial-Getting-Started-with-Augmented-Reality-FME-Realize
◎AI Assist
FME Form 2023.1 からテクニカルプレビューとして、AI Assistを使用してPythonスクリプト、 正規表現(RegEx)、 SQLステートメントを作成する機能が導入されました。
例:Python Callerのパラメータ設定画面、SQL Creator の SQL エディター、String Searcher などの Regex エディター

これに加え、β版のFME Form 2025.1 betaでは、AI Assistのウィンドウを常時表示し、プロンプトを作成することで、FMEの使用方法について様々な回答を得ることができる機能がリリースされています。

関連情報 :https://fme.safe.com/platform/ai-assist/
◎データ仮想化
FMEのデータ仮想化機能を活用することで、インフラストラクチャを追加したりカスタムコードを記述したりすることなく、カスタムアプリケーションの構築が可能となります。異なるデータソースを統合し、リアルタイムでのデータ提供や柔軟なデータ変換が可能となり、迅速な意思決定や業務効率の向上が期待できます。

関連情報: https://community.safe.com/product-updates/introducing-fme-data-virtualization-38066
https://support.safe.com/hc/en-us/articles/36038848068749-Getting-Started-with-Data-Virtualization
◾️交流の時間も充実!
朝食や昼食、ハッピーアワーなどの食べ物や飲み物も充実。ラウンドテーブルで、世界各国からの参加者との交流を楽しみながら、おいしくいただきました。食事を通して情報交換や新たなビジネスのきっかけにもつながる、まさにグローバルな場でした。

◾️最後に:日本でもFMEをもっと身近に
FMEのワールドイベントは、技術や事例共有、そして世界中のユーザーとの交流を通じて、新たな気づきや刺激が得られる貴重な機会でした。PSSとしても、今回得た学びを活かしながら、日本でもFMEをもっと役立つ形で広めていけたらと思います。
次回のワールドイベントは2027年英国で開催予定ですので、皆様2年後に是非一緒に参加しましょう!